【花杯】
先日の10月29日に開催されましたM3に参加してまいりました。
シナリオを書き始めたのが2010年。
実は、この「花杯」をCD化したい!という思いから、イベント参加をはじめたので、
苦節7年(笑)、今回こうしてその願いが叶い、本当に幸せです。
お声がけさせていただいてから2年ほどかかりましたが、
本当に長い間、たくさん、たくさんの収録にご協力くださって、
本当にありがとうございました!!!
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▼文弥さま(吉澤役)
道場の仲間の中でも年長組としてみんなを引っ張っていく役割の吉澤さん。
落ち着いた雰囲気、学問もできそうな理知的な口調、穏やかな空気の中に
どこかぴんと張り詰めた様子もある青年を、文弥さんが表現してくださいました。
この時代感の中での「青年」としてまさに理想的な吉澤さんでした。
そんな吉澤さんが何もかもかなぐり捨てたかのような例のシーンはとても圧巻です。
▼ちるたんさま(大杉役)
吉澤さんと同年代の年長組。対照的に肉体派で面倒見のいい兄貴的存在。
見守るのではなく一緒に笑い転げてくれる、そんな近しい存在で、大きく暖かい青年。
豊かな低音のお声と、大らかさを感じる口調で、ちるたんさんが演じてくださいました。
途中で収録が難しくなり一瞬諦めかけましたが、ちるたんさんが喰らいついてくださり感謝です。
後半からは大迫力の大杉さんで、ちるたんさんの叫びに胸が締め付けられっぱなしでした。
▼天合正太郎さま(有馬役)
どこか飄々とした雰囲気の商家の次男坊。仲間内でもカラッと明るく見せていて、
でも実は……という「差」の表現を天合さんが絶妙に表現してくださいました。
平松・相原にとってはいい兄貴分で、吉澤・大杉にとっては可愛い弟分で、
普段見せない表情を年長組には見せるシーンや、実は少し鈍いところがあったりするなど、
実はちょっと不器用な年頃の男子、というところがとてもリアルでした!
▼今宮ゆうさま(山上役)
武家の次男坊という立場で複雑な思いを抱えている山上さん。少し人に対して
自分との間に壁を作っている様子から、ふとした拍子にするりとその壁を忘れてしまったりする、
そんなまだ少し素直になりきれない雰囲気がありつつも、実は仲間のことを大事にしているのが
とてもよく伝わってきて。剣をとるシーンもですが、なにより清廉な空気の流れを感じるような
動きを感じられるお芝居がとても見事でした、ありがとうございました!
▼更科真都さま(平松役)
元気で少しおばかで明るくて、仲間内のムードメーカー的存在の平松さん。
いつも賑やかでみんなを笑顔にしてくれて、お日様の匂いのする小さなわんこのような感じで
これはみんなに可愛がられるのがわかるな、と感じられる青年でした。
そんな青年が見せる、クライマックスでの叫びには、本当に胸が熱くなりました。
可愛いのに可愛くなりすぎない、「青年」を演じてくださり、ありがとうございました!
▼雨宮梅子さま(琴音役)
一歩後ろに控えて、旦那様を支える妻。それでいて決して内向的ではなく
凛とした雰囲気と実は誰よりも冷静にことを見守ることのできる眼差しを持つ女性。
雨宮さんの、しとやかで甘く柔らかいお声と、気品と優しさを感じる口調、そこに更に
まるで匂い袋からほんのり香るような優しい上品な色気がある表現で、
本当に、吉澤の妻として相応しい素敵な女性を存在させてくださいました。
▼華火さま(史緒役)
吉澤の可愛い妹でありながら、強さに憧れ剣を握る剣士でもある少女、史緒ちゃん。
平松たちとの会話では可愛い女の子で、剣を握るときは真剣な眼差しの剣士で、と、
たくさんの表情を、華火さんのお芝居で見せてくださいました!
この時代に生きる少女として、男たちとはまた違う悩みを抱え、少しでも抗おうとする
そんな一生懸命な姿に胸を打たれました。ありがとうございました!
▼ヨッシ~バランさま(光岡役)
良くあるライバル道場の門下生として登場した光岡さんは、しっかりとその身分を利用して
日常に楔を刺す役割を見事に果たしてくれました。
出番としては多くはなかったのですが、張りのある、血筋のよさを感じるお声でしっかりその存在を
焼き付けてくださり、だからこそ急展開のシーンでは
だからこの方がキャストだったのかとわかっていただけるのではと思っております!
▼村尾祥平さま(宗像役)
悪い言葉で言えば光岡の腰ぎんちゃく、いい言葉で言えば光岡の門弟仲間。
時代劇で言うところのいわゆる「三下」的な青年ですが、決して「三流」悪役ではない
少し難しい表現が必要だったのですが、村尾さんが、ちょっと情けない感じもありつつ
決してコメディではないリアルに意地悪な青年を演じてくださいました。
少し軽い雰囲気がまた光岡とのバランス的にも完璧でした!
▼小板橋篤記さま(白井役)
青年が多く登場するため、更にその上に感じられる年齢感、ほかのキャラと被らないお声……と、
小板橋さんの白井様は、それらをすべてあっさりとかわして演じてくださいました。
奉行所の役人としての迫力ある一喝から、普段の気安い懐の大きさを感じられる砕けた口調まで、
理想的な白井様として物語に重みを加えてくださいました。
吉澤とのシーンはさすがの迫力で、あのシーンを編集することができて本当に幸せです。
▼T-182さま(伝衛門役)
有馬のお兄さんということで、お声はいいのに性格が少し合わない……というイメージと、
商人口調でありながら、決してオーバーな表現にならないで欲しい、と、実を言いますと
登場人物の中で一番、当方からの注文が多かったキャラクターでした。
何度もやり直してくださり、ご苦労をおかけしましたが、本当に(いい意味で)ちょっとイラッとくる
理想的な「有馬の兄」を演じてくださいました、ありがとうございました!
▼アリアさま(お妙役)
そんな口うるさい兄とはうって変わって、ちょっと男気のあるお妙姉さん。
さっぱりした口調で男らしくなってしまいがちなところを、アリアさんの落ち着いた低めのお声と
柔らかな吐息の混ざるお芝居で、お嫁に行っていないのが不思議に感じるくらい
大変いい女に演じていただくことができました。カリカリした兄と、のらりくらりの弟の間で
しゃんと「自分」というものを持っている、かっこいい女性をありがとうございました!
▼有川和壱さま(登瀬役)
山上さんの悩みの種のひとつ、実母の登瀬様。決して口うるさい印象ではなく、
しかしセリフが長く、しかも内容的には大変押し付けがましいようなことばかり。
そんな母上を、有川さんのお芝居が上手に、くどすぎず、かといってあっさりしすぎず、
イライラしすぎず、やや説得力まであるような、そんな強い「武家の母」を見事に
表現してくださいました。本当に長いセリフが多く……お疲れ様でした!
▼渡瀬絵美さま(大杉の母役)
エコーでなら参加してもよいと言われたので、エコーを掛け捲ってみました。
詳しくは語らないけれど、大杉という人間像を表現する上で、どうしても必要なワンシーン。
普段明るい彼がずっと胸の内に抱えている思いは、渡瀬さんのひたむきな母上と、
かつての幼い自分の姿があってこそ。渡瀬さんの品のあるお声とお芝居、
儚さの中に自分の信じるものを曲げない強さを感じられるようでした!
▼吉春さま
メインキャラクターをすべて描くというだけでも大変ですのに、
琴音、史緒の二人も描いてくださり、それがまたもう、本当にイメージ以上で……!
最初に身長差のわかるラフ状態でいただいたときから、これは……!と思っておりましたが、
カラーバージョンが届いたときには、このイラストにあう編集をしなければ!と思いました。
今回はその内容から、線の細いキラキラした美青年たちではなく、
がっしりと骨の太い、筋張った手には木刀ダコのある、そんな青年たちを描いて欲しくて
お願いさせていただきましたが、
単に無骨なだけではない、「花杯」というタイトルに相応しい
「強さ」「美しさ」「儚さ」など、すべて込めた一枚に仕上げてくださいました。
更にあの桜の大木の見事なこと……!!!
その前に存在する彼らもみな、本当にキャストさんのお芝居とお声にぴったりで、
あまりに印象が強すぎて、編集のときにそのイメージに寄せていったほどです。
裏と表で一枚になるように、とわがままを言わせていただきまして、
見事な美しいジャケットを手に入れることができました。
本当にありがとうございました!
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この作品は、ぜひ男性の方にも聞いていただけたらなと思って作りました。
キラキラしたイケメン的な存在は出てこず、
どちらかというと「こいつらバカだな……(笑)」的な男子同士のやり取りであったり
友情だったり、当時の「身分」制度による差別やジレンマ、悩みであったり……
その葛藤を抱える中での、大切な日常。
その日常すらも過ごすことが許されない、当時の時代のもたらす残酷な結末。
この世界に生きる「普通の男の子たち」「近くにいる女の子たち」がどう過ごしていくのか……。
長さ的にもそうですが、
これはヒューマンストーリー、というジャンルになるのかな?と思うのですが、
もう、しばらくは、これ以上のお話を描くのは無理だな、と自分でも思うくらい、
いろんなことを詰め込んだお話になりました。
いつもの、わちゃわちゃと賑やかしいアニメ的な展開のお話ではなく、
どちらかというと淡々とした日常がメインのため、
編集も個人的にはかなり悩みつつ進めていきましたが、
キャストさんの自然なお芝居のおかげで、当時の空気感のようなものが表現できているのではないかな、と思っています。
これほどの長いお話に付き合っていただきまして、
本当に、ありがとうございました!
2017年11月2日 Crystal+ ヤマトアキ拝